【世界文学】シェイクスピアの四大悲劇「マクベス」〜第1話〜予言に翻弄されていく男の悲劇

 

 

マクベス様 おめでとうございます
あなたはさらに
いずれ 王になる
あっという間だった
プハァーって思った
うーっそだろう シェークスピア! とか
そう思ったのよ
そうだ 俺が王になる
あなたはいずれ王になる
あなたはいずれ王になる!!
ウゥゥギョシッ!!!
ブシッ ヴォォォッ!!! ウッ ギュッ!!!
ブシュシュ ウギュギュッツ ブッシュ……
どうも!中田敦彦です
さぁ 今日も早速参りましょう
エクストリーム文学!
シェークスピア 『マクベス』編
超面白い
ありがとうございます!
さぁ やって参りました
シェークスピアって聞くとね
まぁなんか 名前はもちろん知ってるけど
自分で読もうとは決して思わない
なんていうか 堅苦しそうだし
人物めちゃくちゃ出てきそうだし
時代背景も違うし 外国語だし
もうわかりません っていうね
文学 文学 文学の人なんでしょ?
って 思ってる方
私もそう思ってた。そうなんですよ
私もね ちょっと読むの抵抗感あるなーって 
だってもうさぁ 色々あるけども
タイトルから内容が全然想像できないんだもの
ねぇ
『ナニナニな男が ナニナニだった件』
とかいうタイトルだったら分かるよ、ねっ
『こんな私がナニナニに』
とかだったら分かるんだけど
この『マクベス』って言われてもさぁ、それが
マクベスが 何なのかすら分からないというね
えぇ。ところだったんですよ
ところが 読んでみたら
むちゃくちゃ面白かった!
なんで面白いのに読まなかったんだろう
僕そう思いました。悔しかったというか
恐れおののきましたね
やっぱりね 作品の作り手としてね
作品が時の淘汰を経るっていうのが
如何に厳しいか知ってるんだ!
だって私ね 14年前にね 芸能界にデビューして 
『武勇伝』っていうのをやったんですよ
でもその『武勇伝』を知らない世代とか
なんとなく聞いたことあるけど
中身は分からないなんていうのがもう14年で
14年で
霧のように消えてっちゃうんですよ
『武勇伝』って言葉だけを残して
どんなネタだったかなぁって
思い出せないってね。えぇ
『Perfect Human』だってね 
もう何年前ですか? 2019がいまで
そして2016だから 3年前ですよ
3年前になったら もう 知らない
っていう園児たちも出てくるんですよ
子どもたちがね、なにその曲ってなるわけですよ
時の淘汰って残酷
そんな中、シェイクスピアのこの作品は
なんと! 400年生き残ってるんですよ
凄い勝ち残り方
もうそのトーナメントでいうと
勝ち続けてるんですよ
その後のあらゆる文学に
えぇっ!
あらゆる文学の祖と言われる
そのシェイクスピアが作ったストーリーが
どんなものなのか!
ご紹介したいと思います
先ず時代背景をね
言っとくと分かりやすいかもしれない
いつの人なの? 外人だけわかる、みたいなね
外国の人っていうことしか分かりません。みたいなね
なに人?って聞かれたら
うっ! ってなる人もいると思います
これはね イギリスの人なんですね
いつ頃のイギリスか
これが大事なんですよ
生まれたのが1564年で
死んだのが1616年。ということはですよ
日本でいいますと
戦国の終わり際から江戸の始まり、って感じ
へぇーってね
だから 信長・秀吉・家康と同期
あの感じ? みたいなね
だから 『人むれ見上げる江戸の城』って
1603年にね、江戸幕府できますから
間違いなくね その辺りの
あっ 信長・秀吉・家康の、あの頃の
うえぇぇっ、人なんだぁ
で分かるわけなんですよ
その上で イギリス自体が
どういう状態だったかというと
勢い的には
この頃ね スペインが最強だった時代の終わり際
大航海時代があったじゃないですか
うわっと スペインとかポルトガルがね
船でいろんなところに行きまして
「胡椒は何処だぁ」 ってね
色んなところに行くわけですよね
うわぁ やった! やったー! つって
スペインが無敵艦隊なんて作ってた頃ですね
その無敵艦隊を破った事件
の辺りなんですね
シェイクスピアが生きている時に
その事件が起きて 無敵艦隊が破れたんだ
スペインの時代が終わるんだ
その後来たのが オランダの時代
そして このシェイクスピアの死後ですね
数十年してから
オランダとイギリスの戦争が ありまして
いよいよイギリスの時代が始まる というですね
スペイン・オランダ・ポルトガルが少しね 
こう、陰り始めて
イギリスが こう
ぐわぐわぐわとね  国力を増してる
最強イギリス伝説前夜の頃なんですよ
ねぇ
やっぱり強い時代、強い国
その 国がうわっと 盛り上がる頃には
芸術とかもね うわっと盛り上がるわけですよ
ねぇ
スペインがすごいっていう時にはね
スペインにすごい画家が現れたり
いやいや フランスがすごいっていう時は
フランスの芸術が隆盛したりね
いやいやアメリカが凄いんだ、ってなったら
アメリカでポップアートが隆盛したり
そういうことじゃないですか
やっぱりもの凄い勢いのあるところに
芸術も力が集まるということで
その勢いを持ち始めたイギリス
そのロンドンで、俳優 兼 作家として
人気を博したのが この シェイクスピアなんですよ
なんかあの 本書いてたのは知ってる けど
俳優だったってのを知らないって方も
多いと思うんですけど
自分が書いた脚本の中に ちょっとずつ出たりとか
で元々は俳優 として始めて
そこから本を書き始めて
だんだん人気になったと
で、死後人気になる天才っていますよね 
ゴッホとかもそうですよね
でもそうじゃなくって もう生前にですね
もう人気を博して 非常に裕福になってですね
えぇまぁ 死んでいくという方なんですね
この生まれた年と 死んだ年
僕好きなんですよ
僕学生時代にね 覚えさせられたんですよね
あのシェイクスピアっていうのは業が深いよ
人間ドラマを書いたからね と
その人間ドラマの中には
もうとにかく 色んな 愛や憎しみ
そして  生と死が描かれてるんだぁ
色んな人物を
物語の中でたくさん 殺した男
それがシェイクスピア
だから覚えといてくれ
1564(ひとごろし)~1616(いろいろ)って
そういう風に教わったわけですよ
おぉぉ! 一発で覚えるよね
面白ーいと思って
それをね 僕は学生時代の頃に覚えてから
ひとごろし いろいろ(1564 1616)
それだけを覚えてたの
生まれた年と 死んだ年を覚えてるのが
この人だけ 俺
それ以外の人は やっぱそう覚えられないからね
あっ ひとごろしいろいろかぁ と覚えて
でも調べたら面白いのが
生まれたのが 1564年の4月23日なんだけど
死んだのもなんと! 1616年の4月23日 なんだって
なんかさぁ
そこも脚本ですかっていう ねぇ
「さすが劇作家さん」ていう 感じのね
ここで終了!っとね
以上閉幕でございます
っていう感じが するよね
で、これの覚え方、僕 考えました
これ僕のアドリブね
これあの 先生に昔教えて貰ったの
いつの学生か忘れちゃったけど
シェイクスピアは あまりにも多く人をね 
殺したわけだよね、物語の中で。だから
だから ひとごろしいろいろ(1564 1616)
しになさい(423) しになさい(423)というね
ハハハッ あの
あの もっと残酷になりましたけどね
そういう風に覚えると
覚えられるんじゃないでしょうか
まぁ これを覚えることに
何の意味もないんですけれども
まあなんとなく時代背景がわかったと思います
そんな中で 作品でいうと
この「四大悲劇」っていうのがね
非常に有名ですよね
名前はもちろん 何となく聞いたことがある
ハムレット
オセロ
リア王
マクベスと
いう感じなんですよ
このシェイクスピアってのは
あの言ってみればピカソみたいに
ピカソって「何々の時代」
「何々の時代」とかあったでしょう
「青の時代」とかね
「なんとかの時代」「赤の時代」とかあった
そういう感じで作風が変わるんですよ
シェイクスピア初期ば
喜劇 を中心に書いてたんだけども
中盤で 最も脂が乗ってる時に
「悲劇」に手をつけるんですね
で、悲劇で名作を生んだ後は
その後は「ロマンス劇」もしくは「幻想劇」といわれる
またちょっと作風が変わったのを書いてって
現役生活は 約20年間
そして引退して 3年後か辺りにですね
まぁ 死んでしまうという 感じらしいんですね
その中の もう一番脂が乗ってる時の四大悲劇
『ハムレット』『オセロ』『リア王』『マクベス』
えっ!? ちょっと待ってと
シェイクスピアといえば
『ロミオとジュリエット』
これも有名だよね
「おぉロミオ! あなたはどうしてロミオなの?」
ねっ これは有名なんですよ
「あぁ ジュリエット」っていうね
このロミジュリですよ
この『ロミオとジュリエット』が
この もうベスト4から ちょっと
漏れるというぐらいですね
もう名作ぞろい なわけですよ
えぇっ あの曲がみたいな ねっ
あの曲 ベストアルバムに入れないの? みたいなね
それぐらいもう豊富にヒット作がある
『真夏の夜の夢』だって
なんかポスターで見たことありません?
舞台とかで何度も何度もね
上演されてる まぁ 超名作ですし
『ヴェニスの商人』ていうのもね
非常にタイトル有名ですよね
あのベネチアの商人の話だ
これはあの世界史とかでも その当時のユダヤ人が
どのようにヨーロッパから扱われてたかっていう
ところも学べる貴重な資料となってる
なんていう話で、世界史なんかでも触れましたけども
もう全てが名作ぞろい
そんな人の中でも 四大悲劇の中でも
この順番に書かれてるんですよ
で、『ハムレット』を書いて 3年後に『オセロ』
その翌年に『リア王』
その翌年に『マクベス』という
もう連発するんですよ
もう物凄いんですよ
もう脂乗ってて止まらないっていうね
名作が止まらないという 時期になりまして
その中でも一番最後に作られたのが
この 『マクベス』なんですよ
僕は幸運でしたね
もう たまたまなんですよ
「シェイクスピアあるな。読んでみよう」と思って
ふと 手に取ったのが『マクベス』 だった
ねぇ
気になったんですよ 
この『マクベス』がこう  ねぇ
比較的読みやすくね
編集し直してくれてるんでしょうか
この『マクベス』
これお薦めですよ
この斉藤洋さんっていう方がね 
この訳 をしてるわけなんですけども
面白いっす これ
もうね 俺
なんか気になって開いたら
もうあっという間に終わりまで読んでた
あっという間だった
ぷはぁーって思った
「うっそだろー! シェイクスピア」って
そう思ったのよ。面白い
まずね 俺が惹かれたのよ
普段のエクストリーム文学で
あんまりあれなんだけどぉ
このね 最初
俺がどう勉強してるかっていうのも
ちょっと見せてあげよう
この本こう開いて
僕はね ここにビッシリ書き込んじゃうわけ
凄いでしょ!? こういう準備をしてるんですよ
喫茶店で 変態です 。はい
シンプルに変態なんですけども
そこの帯の返しのところをですね 
チラッと買う前に読んで
うわっ 読みたい!と思っちゃったんですよ僕は
あぁ 読みたい!
これは俺 読みたい
そう思ったんです。なぜか
読みますよ。その紹介文ですよ
もうダイジェストですね
もうトレーラーですね。映画でいうと
『マクベス』とは
人名なんですね。マクベスという主人公の名前だ
「いずれは王になる」という魔女の予言
「いずれお前は王になる」という魔女の予言があった
はじめは信じなかったマクベスだが
ひとつ目の予言が的中した瞬間
眠っていた野心が 目を覚まし ……
という話なんですよ
えぇっ そうなんだ!
王になるかならないか みたいな話なんだ
その上で魔女の予言が絡んでくるんだ
そして テーマは野心なのか
そういうところが分かるわけなんですよね
これで僕は ズーン!とね
胸を射られたのはね
もうプライベートな訳があるんです。ごめんなさいね
あの 私情を挟んでしまって 申し訳ないんですけど
僕ね 大学1年生の時初めて彼女ができたんですね
えっ なんの話を始めるのって?
何の話なのっていう話なんですけど
その彼女にね 言われた言葉で今でもね
あの覚えてるのが
「あなたはいずれ大物になる」
って言われたんですよ 僕
初めて付き合ったんですよ。初めて
いやもう 女の子と付き合うって何だろう?
デートって 井の頭公園って広いなぁ
って言ってる僕にですね
「あなたはいずれ大物になる」
その予言がですね、いつ言われたのか
分からないけど、すごい強烈に残ってるんです
いずれ大物になるのかぁ
僕は何も,、何も、何もなかったんですよ
お笑いをやろうとも思ってなかった
その「いずれ大物になる」
それがね なんだから分からないけど
強烈に残るんですよ
男ってそういうところがある
女もそうかもしれない
何か誰かに言われた言葉を強烈に覚えていて
それを拠り所に生きていく
みたいなところが ありません
あの時あなたに言われた言葉、きっと
言った方は覚えていないのかもしれないけれども
なんか強烈に残って
すごく捕らわれてしまう
っていうことがあるじゃないですか
僕はね うわぁーって 思い出したの
えぇ!? 俺? これ
マクベスって俺?って ねぇ
関係ないんですけどもね
でも なんかそういうね
これは僕かもしれないっていうような
これ私かもしれないっていうような
そういうですね  人間の描き方が非常に緻密なので
誰かに投影するかもしれない。もしかしたら
こんな 登場人物が いるんですが
早速お話し始めて いきましょうかね
いやぁー 面白いんですよ
『マクベス』 どうなるやら
舞台はこの イギリスなんですよ
イギリスの中でも
アイルランド・イングランド・スコットランド
というところに分かれてるっていうのは
何となくご存知かもしれませんが  その中でも
舞台はスコットランドなんですね
そのスコットランドには王様がいました
ダンカン王という王様です
そのダンカン王に
仕えてる武将
それが マクベスなんですね
さぁ そんな中 スコットランドが
ノルウェーの軍
北欧にあるんですよね
ノルウェーの軍に責められて 戦争をしている
そんなタイミングからお話は始まります
ですが、ファーストシーンは
嵐の中の 踊る魔女から始まるんですね
舞台的ですよね 非常に
ピカッ! ゴロゴロゴロ!!! 
ビュアァァァァーーー!! 荒野ですね
ブワァーッ なんて 3人の魔女が躍ってるんです 
3人いるんですよ
魔女ひとりじゃない。3人なんですよ
ふわぁーと 不思議なことを言ってるんですよ
「 次 会うのはいつだろうね」
なんて言ってるんですね
「 次 会うのはいつだろうね」
なんて踊ってるんですね。踊って
「もうすぐさぁ あれやこれやが治まって
戦に負けて勝った頃」
「じゃあ もう直ぐだねぇ」
なんて言ってるんですね
不思議なことを言ってるわけですよ
「じゃあどこで会う?」
「もちろん荒野で」
「あの者に会おう」
「あの者の名は……」
「マクベス!」
ピシヤッ!! ゴロゴロゴロー
面白いですね。なんか始まりそうですね
なんか始まりますよ
「マクベス もうすぐ会えるよ」
こうなるわけですよ
そして最後に不思議なことにですね
「綺麗は汚い。汚いは綺麗」
「 良いは悪い。悪いは良い」
ヒュゥゥゥゥゥゥーッ!!!
雨がしばらくして上がると
ある場所でマクベスと その親友
バンクォーが語り合っていた
場所が変わるわけですね
「バンクォー助かったよ」というところから
始まるんですよ
「バンクォー助かったよ。あの憎っきノルウェー軍」
「あの憎っきノルウェー軍 
一度撤退したかと思ったが 」
「なんの拍子か分からないが」
「もう一度勢いを取り戻して
こっちにまた向かってきやがった」
「あぁ たまげたなぁ」
「バンクォーお前が助けに来てくれなかったら
俺はもうやられてたよ」
「何言ってるんだよ、マクベス
俺とお前の仲だろ」
「お前の才能と俺の才能が合わさった。だから 」
「もう一度来たノルウェー軍を
撃退することができた」
「なにせ生き残っててよかったじゃないか
おめでとう! マクベス」
「ありがとよ、バンクォー
いつもお前に助けられてばかりだなぁ」
「はっはっは! 生き残るってのは 最高だね」
ビッ フューッ!!!
なんだ?
「へっへっへっへっへ」
「なんだ? なんだなんだなんだ?」
三人の魔女が来るんですね
ヒュゥー!!
「何だお前らは!」
急にね現れた ヒュゥー!!ってね
「おぉぉぉ!! これはこれはマクベス様」
ねっ
「何だお前ら 口が利けるなら答えろ! 
お前らは誰だ!」
「口は聴けないよ。耳が聴くんだよ 」
ふざけるな!みたいなことを言うんですね
ふざけた魔女なんですよね
「おめでとうを 言いに来ましたよ」
ねぇ なんだぁ
「マクベス様  おめでとうございます」
「あなたの領地の他に」
「コーダーの領地もあなたのものになる
おめでとうございます」
「あぁ どういうことだ」
「そして あなたはさらに 」
「いずれ 王になる
おめでとうございます」
こうなるわけですよ ねぇ
「何を言ってるんだ こいつらは」
「ふざけるんじゃないぞ」
「コーダーの領主っていうのはな
ダンカン王の下にコーダーの領主はいる」
そして そのコーダーの領主は立派な
立派な武将だ。俺も知ってる」
武勇にも優れ 知恵も優れてる
「あいつが 納めている領地が 
何で俺のものになるんだ」
「そして何だ! 王になる、ならないとか
お前らなんだ! ふざけてるのか ?」
「ふざけてないですよ
いずれ分かる」
「そうか……面白いこと言ってるな バンクォー」
「あぁ ううん……俺にはないのか?」
って こう言うわけですね
「うん マクベスだけか? 俺にはないのか?」
ってこう言うわけですね そしたら
「あなたにもあるよバンクォーさん
あなたは王にはならない」
「あっ そうかぁ」
「だが あなたの血脈からいずれ」
「王になる者が現れる」
本当かぁ
「オイ! 聞いたか マクベス
お前は王で 俺の血脈から王になる者が現れるって」
「そう言ってんだぞ!
あっ……消えてしまった」
ヒューッ!
「何だったんだろうなぁ」
「だがあんまり信用しない方が
いいかもしれないな。マクベス」
「あぁいう闇の 手合いというのは」
「言ってることとやることが
いつも チグハグだったりするからなぁ」
「話半分で聞いとくのが いいだろう」
「そうだな」
パカラッパカラッパカラッパカラッ
来るわけですね
「マクベス殿! マクベス殿!」
「あぁ どうした?」
「マクベス殿! いやぁ ご無事でしたか?」
「いやぁ お話には聞きました
あのノルウェー軍、憎っきノルウェー軍と反乱軍を」
「もう バッチバチにやっつけてしまったと
そういう話を聞きましたよ」
「素晴らしいです。マクベス将軍
素晴らしいと思います」
「んまぁ そうだな 
ただよく分からないのが その」
「いまなんだ? そのノルウェー軍は分かるが
いま反乱軍と言わなかったか?」
「えぇっ! そうでございます」
「えっ!? ご存知ないのですか?」
って言うわけですよ
「ん? なんだ 反乱軍って何なんだ」
 「実は……」
「ノルウェー軍に寝返った
我が国の武将がおりまして」
「誰だ?」
「コーダーの領主でございます」
「コーダーの領主が!!」
「そうでございます。あの憎きコーダーの領主
あいつがずる賢いやつだったのです」
「武勇にも 知にも優れていると
思わせておきながら」
「あいつは裏切り、ノルウェー側に
急に付いたのでございます」
「ですから ノルウェーが一旦
撤退しかけたにも関わらず もう一度」
「そのコーダーの領主を含めて、ノルウェー王と共に
攻めあがって来たということでございます」
「それを倒したのが マクベス様と 
バンクォー様ということではありませんか」
「知らずに戦ってたんですか?」
「知らずに戦っていたぞ 
そうなのか……コーダーの領主はどうなった?」
「もう捉えられました」
「えぇ そして王から愛でたい伝令がございます
そのコーダーの領地は」
「そっくりそのまま 今回の 一番手柄
マクベス様の」
「物になるということでございますよ」
「なに?」
ここですよ。もういきなり叶うというね
もうこれが もう? というね
「お……俺のものになるのか?
バンクォー これはどういうことだ?」
「分からん だが奇しくも魔女の言う通りになった
「そうだなぁ」
「さぁ マクベス様 
もう王様が王宮でお待ちですから」
「おぉ 行きましょう
褒美を取らせると言っておられますので」
パカラッパカラッパカラッ
ここで終わるわけなんですよ
いきなり望みが叶う
急展開でしょう
このストーリーね 
むちゃくちゃテンポいいんですよ
すごいテンポがいいの
ダレルところございません。着いて来て!
あはっ ありがとうございます
さぁさぁ 城に着きましたね
「よくやったなぁ、マクベス」
てこういうね
「ダンカン王…… 今回の戦は大変でしたが」
「なんとかなりましたよ」
「あぁはっはっは 
あのコーダーの領主にも困ったもんだなぁ」
「あいつは 早速処刑しておいた」
「もうですか? はぁ、そうですかっ」
「そしてそのコーダーの領地を お前に」
「お前にやる!」
「ありがとうございます。ダンカン王」
「はぁ お前にやるからなっ」
「そうだ! もう一つ 発表がある」
「なんですか?」
「次期 王のことだぁ」
「次期 王……」 ゴクリ
私は予言を覚えている
一語一句覚えてるんだ
そう あの時はふざけてるように思えたが
「あなたはコーダーの領主になる」
もう一つ
「あなたはそして いずれ 王になる」
そうだ! ドックン ドックン
俺なのか? オイここでか いきなりかっ!」
「次の王は……」
「第一王子だ!」
第一王子?
第一王子が立ってるんですよ
あの 戦にも出たことがない
生ちょろい第一王子がなんで?
しょうがない! まぁそういうもんだ
王家というものはな
「めでたきことでございます」
「そうだ、これからも頼むからな
おい! マクベス」
「新しいお前のコーダーの城で
パーティーをやらないか」
「お前の祝いで  みんなで
パーティーをすれば盛り上がるだろう」
「あぁ パーティーを開いてくれ」
「今日でございますか?」
「あぁ 今日だ」
「支度にも準備がございますので
時間がかかると思いますけども」
「お前の 嫁さんを もう新しい城に
連れてってあるから」
「大丈夫。準備はもう進んでるから、大丈夫」
「わかりました! ではもう、急ぎあの帰りまして
準備いたしまして、あの、ダンカン王をもてなし」
「あっ、ここにいらっしゃる他の方も
いらっしゃるんですか?」
「あぁ そうだな」
ここにはですね、マクダフという貴族もいたんですね
えぇまぁ 重鎮の貴族なんですけども
「オイ! マクダフ来る?」って
「あぁ よければ行かせていただきます」
「来るって」
「あっ 分かりました!
ではここら辺の…… お歴々と共にですね」
「あの お祝いいたしますので 準備いたします
それでは 失礼仕ります」
で パパパッとね
で、馬に乗る前にですね「そうだ!」って
「これを 伝令で届けたい」
って 手紙を書くんですね
それが 妻に手紙を書くんですよ 
「妻へ」ってね
私は実は 今日不思議な魔女にあったんだ
まだ信じられないかも しれないが聞いてくれ
そこでこうこうこう言われて こんな予言をされた
そしたらその通り コーダーの領主が
手に入ったと いうわけなんだ
そしてもう一つ言われたことがある
他言は一切無用だ
俺はいずれ
王になるらしい
「よし!  これを届けてくれ。絶対に開封するな
命がけで届けろ! 妻に」
「妻以外には絶対見せるな!  お前も見るな!
お前も絶対だぞ! お前行け!行け! 早く行け!」
「お前は届けろ、俺が到着する前にな」
パカラッパカラッパカラッパカラッ
行くわけなんですね
そしてパーティーの準備をするわけなんですけども
妻の元にたどり着くわけですね
パカラッ パカラッ パカラッ へぇー
パーティーの準備しなきゃ
妻は手紙を先に読んでるだろうか
「ただいま 帰ったぞ!」
「おかえりなさい」
「ねぇ もうね」
「おめでとう! ホントに素晴らしい! ねぇもう」
「元々の地の領主であり」
「コーダーの領主であり 更には その先の」
「高みに登られる方! あははははははっ」
おぉぉ もの凄い盛り上がってる
「手紙を読んだのか」
「読みましたとも 読みましたとも!」
「いや わからんがな、魔女が言ってたんだ」
「真実に決まってるでしょ! 真実ですよ
魔女が言ってることが その通りになって」
「こんな領地が手に入ったわけじゃないですか」
「あなた これは」
「神の教えなんですよ
そう思いません?」
「そうだな。俺はいずれ
いずれ 王になる」
「いずれ? いずれじゃないですよ
そんな悠長なこと言ってたら 私困ります」
「いずれじゃないでしょ?」
「あぁ なる早で」
「なる早でなるつもりだ」
「ですよね。そうだ!
ダンカン王は 何時いらっしゃるんですか?」
「もうすぐ来るそうだ」
「そして いつ」
「この城をお立ちになるとおしゃってました?」
「あぁ 明日の朝には 出発すると言っていたが」
「そうですか…… 明日の朝……」
「とは言わず、どうでしょう?
もう真夜中には」
「お暇して貰うというのは」
「どういう事だ?」
「お暇してもらえば良いんですよ」
「この世からね」 
「お前……」
こういう始まりなんですよ
お前…… すごい嫁
こう思うんですね
すごい嫁なんですよ
もうね、この『マクベス』の中でも
この嫁、めちゃくちゃ面白いですよ
すごい勢いです。この嫁がね
「そうだ! 真夜中に」
「この世から出て行ってもらいましょ?」
「いや そりゃなぁ」
「流石に それは急ぎ過ぎじゃないか、お前」
「それ 流石に急ぎ過ぎだよ 
まぁ今日の今日だよ。それは急ぎ過ぎだ!」
「何を言ってるんですか、あなたは
ねぇ怖いんですか? えっ!?」
「あなた王になると 先ほどおっしゃいましたよね」
「さすがに 言った」
「あの時のあなた、かっこよかったぁぁぁ」
「それが今どうですか?」
「早いんじゃないか」
こんなこと言うんですか? えぇぇっ?
「手に持ってる金貨 を失うのが惜しくて」
「目の前の大金を 逃すんですか?
そうなんですか?」
「えぇっ!? 魚は欲しいけど
濡れるのが怖い猫ですか?」
「猫ではない! 私は獅子だ!!」
「じゃあやりましょうよ」
こうなるわけですね
「分かった! 今夜やる!」
と こうなるわけですよ
そして 王が来るんですね
「ここかぁ?」つって
「久しぶりに来たけど広いね
結構広い。こんな間取りだったかぁ」
とか言ってですね
そしたら もう奥さんはもてなすんですね
「キャアー ようこそ ダンカン王
お待ちしておりましたよ、ねぇ」
「あぁ。もう新しいコーダー城領主夫人だな」
「あはっはっは おめでとう」
「いやもう 領主夫人だなんて」
「コーダーのあの城の夫人だなんてもう 
めっそうもございません、ほんとうに」
「王様の城をちょっと」
「ちょっと」
「管理させていただいていると言いますか
お掃除しているようなもんですけどね」
「もうずっと掃除してるもんで
あぁぁ カバンはこちらでこちらで」
すごい嫁…… と思ってるわけですね
あいつすごいなあ…… てなるんです
大丈夫だろうか
今夜 どうやってやろうか
そうやってもうパーティーが
始まるわけですね
「あぁ良いね、コレ。結構美味しいね」って言って
で、うわぁっと盛り上がってるんですね
それでもう気が気じゃないんですよ。マクベスがね
もう震えてるんですよ。どうしよっかなぁ
今夜どうやってやれば良いんだよ、つって
「どうした!? マクベス なんか震えてるけど」
「あぁぁぁ いや あの そうだ!
あの食後の酒を ちょっと探して参りますんで」
「ちょっと すみません」つって
「すいません、すいません」
「あいつ なんか変だね。大丈夫?」
「あっ 大丈夫ですよ。なんかビックリしてもう
新しい部屋だからパニック状態なんですね」
でね、酒のですね、こう部屋に入って 
葛藤するんですね
「ホントにやるのか?」
なんだか震えが止まらんぞ…… はぁ
王を殺す…… いやしかし……
はぁっ…… 魔女は言っていた
だが もしミスったらどうする?
しくじったら とんでもない目に遭う
いま得てるものもすべて失うし
何もかも 命さえ失うかもしれない
どうすればいいんだ
そして何より 王殺しは良いのか?
正義の観点からすればアリなのか
正義の女神がそれを許すのか?
大丈夫か? マクベス…… はぁ……
ってやってたら奥さんが来るんです。ギィィ
「あなた? うち そんな酒ないですよね?
迷うほど 酒ないはずですよ」
バタン 「ビビってんの?」
「いや、ビビってるものか
ビビってない!」
「ビビってんのね…… 可哀想に。大丈夫!」
「考えがありますから」
すっごい嫁……
「なんだ、考えって」
「お酒ですよ。お酒をたっぷり飲ませて 
ぐっすり眠らせるんですよ」
「そうでしょ? ぐっすり眠らせる中でも
あの王には屈強の護衛が付いているじゃないですか」
「その屈強な護衛には 特別……」
「はぁーい」
「小瓶です。これ」
「チョチョンと嗅がせたらね、もうぐっすり眠れる
っていう睡眠薬持ってますからね」
「お前、いつから持ってたんだ
凄いな睡眠薬。何に使うつもりだったんだ?」
「えぇ 何かのために
買っておきましたから。ねぇほんと」
「で チョチョン とやるとですね
護衛さん グゥーと寝ますからね」
「そして グゥーと眠るわけですよ」
「その夜更けに あなたが」
「殺る」
「私が入れる」
「あなたが殺る」
「それだけ」
「しくじったらどうすんだ!!」
「しくじる? これを!?」
「えっ なにが? チョンチョン
くんく くんく グゥ」
「カッ! 何をしくじるんですか!」
「あなたがそんなに震えてたら困る」
「あなたが」
「新しい王なのですから」
「静かに」
「分かった! もう戻らなければ。その作戦でいこう」
こうなるわけですね
で戻って「王、これが、あっなんだこれ? 
まぁこれでいいか! まぁいいや。王、これ」
「あぁそう? 何? 美味しいの? これわかんないけど
美味しい。美味しい」とかやってですね
そこからですね
みんな寝室に移るわけですね
「あなた、いい?
あの、具体的なことをもうちょっと言うけど」
「王の寝室。で、手前ドア」
「護衛立ってる」
「で、手前に王子、第一王子、第二王子寝てる」
「この部屋、繋がってるから」
「まず王子のところに入る」
「護衛、寝てる」
「王、殺す」
「護衛、殺す」
「王子殺すだから。わかった?」
「全員殺すのか! 5人もか」
「5人もよ! 5人もかって 
あなた 戦場で何人殺して来たの?」
「えぇっ!! 信じらんない! 5人でビビッてんの?
あのノルウェー軍を撃退したマクベス様が?」
「信じられない!!
5人よ。たったの5人」
「やればいいのよ。あなたが殺る。とにかく殺る」
「私はその下準備してくるから
「いま 護衛はまだ寝てないから
護衛の酒にチョンチョンとして入れてくるから」
「待っててね。うん。護衛がクルンってなったら」
「護衛の小刀で 王を刺すわけ」
「で、それを護衛に持たしとくわけよ」
「で、あんたの刀で ドチャン!! これ!!」
「裏切り者の護衛を、あんたが成敗した
そういうストーリーよ」
「分かる? ね、簡単でしょ!? 殺るのよ」
スッ と行くわけですね
すっごい嫁だぁ…… はぁ
殺るしかねぇか…… ふぅ
って言ってたらですね
親友バンクォーが廊下を通りがかるんですね
「おい、マクベス」
「ああっ! なんだバンクォーか……
なんだバンクォーかよ…… おい起きてたのかまだ」
「どうしたお前、えぇ?
お前こそまだ起きてたのか? 何してんだ」
「俺? 見回りしてた」
「お前なぁ あれだけ長い間戦争して もう夜だぞ
「奥さん一人で寝てるのか?」
「おい、戦争で頑張って 帰って来た夜
祝賀会が行われました。ねぇ」
「そしたらお前は 奥さんと一緒に寝てやれよ
それがまぁ 旦那ってやつですよ」
「なっ そうだろう?」
「あぁ そうだな」
「どうした? マクベス」
「バンクォー…… もし何かあったら」
「お前、俺の味方でいてくれるよな?」
「あぁ もちろんそうだが」
「マクベス……」
「あまり高望みは……」
「お薦めしないぞ!」
「あぁ」
「忠義に反しないことだったら
なんでも協力するよ」
「ありがとう」
タッタッタッタッタ
なるんですね
そしたら 奥さんが待ってるんですよ
「イチコロですよ、コレ」
「もう護衛が グッグッ グゥって」
「もう護衛が グッグッグゥって
これ凄いね、ホントに」
「あなた 出番ですよ」
こうなるわけですね
「分かった! 行ってくる! よし!」
タッタ……
戦場に行くよりも、こんなに緊張することがあるのか…
たった5人の命を奪うのが
こんなにも恐ろしいのか
階段が二手に分かれてる
右から行くか、左から行くか
それすらも迷う
左から行こう
トットットットットット
ギィィィィィィ
王子は寝ている
ようだなっ スゥーッ
護衛がいるんですね
護衛も寝ている
護衛の短剣を…… んん?
護衛の短剣がない…… どういうことだ?
しょうがない
俺の剣で王を刺すしかないか……
タッタッタッタッタ
王が寝ている
天蓋の付いた豪華なベッドに王が寝ている
王はグッスリと寝ている
よし!
すると王の枕元にですね
護衛の短剣が2本、置いてあるんですね
妻の準備、すごい
もうコロコロですからね
あいつ マジで凄いなぁ
よし! コレでやるのか!
枕を……
もう一個 の枕を
返り血が飛ばないようにして
ふぅっ!
ダンカン王を殺す! ダンカン王を!
そうだ! 良いんだ
ダンカン王は 決して良い王ではなかった
そうだろう? そうだよ!
裏切ったコーダーの領主を
すぐに処刑したじゃないか!そうだよ!
自分を信じて着いて来た配下
そいつが裏切った
そいつの言い訳も聞かないまま
直ぐに処刑した、そういう王なんだよ
残虐な王だった。そうに違いない
ついていったら俺も いつか殺される
そういう王だ。俺に、俺に正義はあるんだ
そうだ! 俺が王になる
あなたはいずれ王になる…… あなたはいずれ王になる
よし! グァシッ!ブシュッ!
ヴォォォォォッ!!
ヴェッグッツガッグッゲッツ!!
よし! やった! はぁぁ……
よし…… この短剣を……
そうだ! はぁ はぁ
護衛だ!
よし! 護衛……
護衛はこっち
こっちの俺の刀で
ひとり バシャン! ふたり バシャン!
はぁ はぁ はぁ
すると 奇妙な声が聞こえた
あははははっ
誰かが笑ったように聞こえた……
誰かが笑ったような声が聞こえた……
王子は寝ている
幻聴か…… よし! 帰らなくては……
タッタッタッタッタ
階段を左から登ったから 左から降りよう
タッタッタッタッタ
その時
「人殺し!」
 聴こえるんですね
どういうことだ…… どういうことなんだ?
なんでお前がそこに座ってるんだ!
予言を聞きに行きたい 
予言が必要なんだよ
王になった後の予言が……

この記事を書いた人